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『CASSHERN』及川光博インタビュー

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注目のクリエイター、紀里谷和明の初監督作として、70年代に人気を博したアニメ『新造人間キャシャーン』の実写映画化作品として、幅広い注目を集める『CASSHERN』。新造人間として蘇った孤高のヒーロー、キャシャーンこと東鉄也と、彼と対立する新造人間軍団の壮絶な戦いが繰り広げられる本作だが、このインタビューではキャシャーンの父親・東博士に近づき、新造細胞の研究援助を申し出る謎の男・内藤薫を演じたミッチーこと及川光博を直撃! 「はあ~い。ベイベーたち」と微笑みながら華麗に現れたミッチーは、サングラスの奥にある瞳に情熱を宿らせつつ、『CASSHERN』について大いに語ってくれた。

 コスプレ好きだし……

Q:出演依頼が来た時の率直な気持ちから聞かせていただけますか?
最初にお話をいただいた時は、ヒーローものがもともと好きでしたし、コスプレも好きなので、楽しそうだなと思いました。でも、正直、ここまで壮大な企画だとは思っていなかった。実は、お話をいただく前に、唐沢寿明さんから「今度、ブライキング・ボスを演じるんだ」という話を聞いていて、その時は「唐沢さん、そんなのに出て大丈夫!?」と思っていたんです。でも、その後、僕のところにもお話が来て、「ああ、これか!」と。

Q:最初から内藤薫役でのオファーだったんですか? 新造人間がやりたかったなぁという気持ちは?
本当はね(笑)! コスプレ好きだし。内藤以外の役を演らせてもらえるとしたら(不敵に微笑みながら)キャシャーン。でも、脚本を読んだ時、一番興味を持った人物は内藤だね。

Q:紀里谷監督の第一印象を聞かせてください。
パッと見、神経質そうに見えるじゃないですか、キリキリ(紀里谷監督)って。だから最初は少し緊張しましたけれど、衣装合わせをしていた時、彼のデザインに対するこだわりの深さを感じて。そこで僕にも火がつきましたね。しかも、その時、「髪型を変えられますか? 前髪はそのままで、後ろを刈り上げてほしいんですけれど」と言われて。で、僕は想像がつかなくて、「イメージする写真や絵があったら見せていただけますか?」とお願いしたんです。そうしたら、彼はナチスの将校の写真を見せてくれて。混沌とした戦乱の世という背景の中で、ファシズムを利用しつつのし上がっていく内藤のイメージがキリキリの中にあったんでしょうね。そんな彼の思いを受け、僕も潔く髪を切り、とことん付き合う気になりました。あと、これは僕が勝手に感じていることなのかもしれないけれど、キリキリと僕は生い立ち、考え方が似ていると思う。彼の人生を僕が語ることはできないけれど、かいつまんで言うならば、2人とも熱いぜ! お坊ちゃま(笑)?

 ミッチーとキリキリ、と呼び合う仲

Q:撮影現場でも、キリキリ、ミッチーと呼び合っていたんですか?
そうだよ(笑)。いつの頃からかね。

Q:及川さん自身は内藤薫をどんなキャラクターだと解釈して演じましたか?
内藤って、獣の仲間でもなく、鳥の仲間でもなく、コウモリのような男じゃないですか。狡猾に立ち回るし、生きのびるための野心も持ち合わせているし、逆ギレにも似た開き直りを見せることもある。悲しい男だしね。そういう意味では、僕の容姿は説得力があるなと思った。賢そう、ずるそう、卑怯そうみたいな。別に、僕がそうだって言ってるわけじゃないよ(笑)。あくまでも見た目の話だからね。

Q:歌手のミッチーさんはカッコよくて、ゴージャスで、キメキメなのに、俳優・及川さんは欠点のあるキャラクターを好んで演じている気がします。
楽しいからね! 僕がお芝居を続けているのは、別の自分になれるからこそであって、自分と同じようなキャラクターを演じても意味がないんですよ。俳優としての僕は単なる素材ですから、監督や企画のニーズにも合わせるしね。アーティストとして、自分の世界を十分築けているからでもあるんでしょうけれどね。

Q:今後も役選びの基準はその方向性で?
そうだね。大抵お断りするのはいわゆるミッチーみたいな役(笑)。

Q:では、カッコいい役のオファーも過去にはいろいろとあったんですね?
一応カッコいいからね! フッ。

 現場は暑くて……夏苦手だし

Q:ハイ(笑)。撮影はとても大変だったそうですね。
撮影現場がとにかく暑かった! もともと夏が苦手だし。でも、僕よりも大変だったのは伊勢谷くんや新造人間軍団の皆さんだよね。僕にはアクションシーンがないから。「ボディスーツが蒸れて大変だった」とか、そういう大変さはないしね。僕と寺尾聰さん(東博士役)が演じる役は、ある意味ストーリーテラー的存在でもあるから、きちんと説明すべきことは伝えようというお芝居を心がけました。それでいて、徐々に内面が崩壊していく内藤を表現していこうと。

Q:ブルースクリーンの前での演技はいかがでしたか?
窓の外にある荒廃した景色を見ながら会話をするシーンがあったんだけれど、もちろんスタジオにはそんな景色はないでしょ? そこにないものを見つめながら演技をするのは本当に難しくて楽しかったね。例えば、川を見ている時の眼差しと海を見ている時の眼差しって違うし。イマジネーションが本当に大切だな、と。

Q:共演された方々の印象は?
皆さん、もちろん素晴らしかったけれど、大滝秀治さん(上条将軍役)! インパクトが強かったというか、一緒の画にハマる感動があったね。何もしなくても画を成立させるパワーがあると思った。やはり俳優業は年輪を重ねなきゃね。黙ってる大滝さんのアップが一番怖いもん(笑)。なのに、現場では、カメラ付携帯を取り出して「一緒に撮ろう」とか言うんだよ。お茶目だよね。

Q:完成版を見た時の感想を教えていただけますか?
すごくよかったよ! よくぞここまでやった、キリキリ。エンドロールに監督・脚本・撮影監督・編集:紀里谷和明と流れた時点で、1人のアーティストに対する尊敬の念のようなものを抱いたね。ですから、彼にはこのまま突き進んでほしいし。本当に楽しいコラボレーションだったなぁと、そんな気持ちを抱きつつ、朝までキリキリと飲み明かしに行くわけですよ(笑)。

Q:完成版は冷静に見られるタイプですか?
冷静に見られるね。僕、世間のイメージほどナルシストではないんだよ(苦笑)。だから、自分の出演シーンを見て喜んだり、嘆いたりはあまりしないね。

Q:いや、ナルシストとかではなく(笑)、完成版を客観的に見られないとおっしゃる俳優さんも多いので。
何でだろうねぇ。いるよね、そういう方。でも、僕は極めて客観的。スクリーンの中の自分をあくまでも役としてとらえるからかな。

Q:重厚なテーマの作品ですが、そのテーマは及川さんの心にどう響きましたか?
見終わって、「楽しかった~」だけで済む映画ではないよね。いわゆるハリウッドのエンターテインメント大作とも違うし。メッセージ性が強くて、もしかしたら押し付けがましい部分もあるかもしれない。そのあたり、僕としても観客の反応が大いに気になるね。

Q:では、及川さんから見た『CASSHERN』の見どころを教えてください。
根性のCGと人間ドラマが見どころです。実際の戦場だけではなく、現実という戦場で日々戦っている皆さんに見てほしいですね。

Q:では、最後に、俳優・及川さんが『CASSHERN』に出演して得たものを教えてください。
役者としての自信ですね。テクニックとメンタリティの部分で作品と融合できたなと実感しています。僕のキャリアの中で、『CASSHERN』は間違いなく代表作の部類に入る作品です。

「チャオ!」と手を振りながら、登場した時と変わらぬ笑顔で颯爽とインタビュールームを後にしたミッチー。質問に対し、真摯かつユーモラス、的確かつテンポよく答えてくれた彼の姿に、俳優・及川光博の真髄を垣間見た気がした。
(取材・文:渡邉ひかる)

 

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