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『ヴィレッジ』M・ナイト・シャマラン監督独占インタビュー

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『ヴィレッジ』M・ナイト・シャマラン監督独占インタビュー

取材・文:前田かおり

『シックスセンス』でハリウッドの寵児となって以来、超自然現象へのこだわりを斬新なアイデアとスタイリッシュな演出でみせてきたM・ナイト・シャマラン監督。前作『サイン』から2年、スリラーの天才と異名を持つ彼が練りに練った新作『ヴィレッジ』で描くのは、奇妙な掟に縛られた閉鎖的な村の物語だった。全編に張り巡らされた伏線に、二転三転のひねりとあっと驚く大ドンデン返しも健在。また、すっかりお馴染みになったカメオ出演で、今回もお茶目な一面を見せている。そんなシャマラン監督に、新作の見どころなどを語ってもらった。

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Q:今回の『ヴィレッジ』で初めてラブトーリーを描いていますよね。

僕はずっとロマンスを描きたかったし、実際には描いてきたんだよ。たとえば、『シックス・センス』は夫婦のラブストーリーがある。『サイン』でも妻は死んでいるけれど、それでもまだ二人の間にはロマンティックな愛があって、物語の最後の方で妻が夫に話しかけるシーンがあった。とはいえ、これまではロマンスの要素は抑え気味にしてきた。でも、今回はストーリーそのものをロマンスにしたかったんだ。ヒロインには愛する彼がいて、その彼が命に関わる怪我をして、彼女は行動しなければならなくなるというようにね。

Q:ストーリーのアイデアは以前から温めていたものですか?

1年ぐらい前からかな。森にいる何かを恐れて生活していて、その恐怖から自分たちを守るために忠実に行っている慣習がある、という部分は長い間考えていた。また、興味深い色についても考えていたよ。

Q:じゃあ、赤は不吉で、黄色は安全という色分けは何か根拠でも?

いや。心理的な理由だけだよ。もし部屋が赤ければ、人間は攻撃的になる。黄色だったら、落ち着いて幸福になる。そういう反応があるんだよ。大学時代に心理学のクラスをたくさん取っていて、そのとき知ったんだ。でもさ、多くの人は、赤い色はいいことにも使われているって言うんだよね。たとえば、バレンタインのハートとかって。僕は、愛は危険なものだから、赤だと思うんだけどね(笑)


Q:ヒロインに新人のブライス・ダラス・ハワードを起用していますね。

キャスティングに関しては、どうやっていいかわからなくてとても悩んだよ。ところが、ブライスに会ったとたん、僕は心が落ち着くのを感じた。彼女には無垢なもの、純粋なものがあったんだ。僕はそのときに思ったよ。彼女を見た観客は、アイヴィーそのものを見ることになるってね。この映画で、僕は観客がこれまで会ったことがない少女に魅了されるということを体験してもらいたいと思っていた。そんな僕の狙いにブライスはぴったりだった。で、ブライスが決まったら、あとのキャストは世界中でベストな役者たちにやってもらうことに簡単に決まったんだ。

Q:あなたの作品にはいくつもの伏線が張り巡らされ、結末には驚かされますが、今回そのためにこだわったことは?

19世紀末という時代設定にしたことだね。なぜなら、多くのドラマを作ることができるからだよ。たとえば恋に落ちたり、人々が殺されたり、時代ものならば、いろんなことを起こすことができるし、受け入れやすいと思うんだ。でも、現代に設定して、あまりにもいろいろなことが起こると、荒唐無稽な昼メロのようになってしまうからね。

Q:毎回話題作をつくり、驚かせることでは定評がありますが、それがプレッシャーになることはありませんか?

プレッシャーというよりも、イライラさせられることがある。たとえば、僕が『部屋の中にいる2人の男と犬についての映画を作る』と言うのに、世間は『それは2人の男じゃないだろう。それに、犬じゃないだろう。たぶん部屋でさえないだろう』と言う。僕がやろうとするすべてのことをイチイチ疑ってかかるんだ(笑)。で、『それは犬だよ! 誓うよ』と言っても、『いや犬じゃない。エイリアンだ』って。僕の言うことを何も信じないんだ。そういうことに、ちょっと飽き飽きしてる。それから、僕の作品にはトリックがあるけれど、批評家は『観客はシャマランの作品にはトリックがあるから、気に入っているんだよ』ってね。トリックは映画の中のほんの一部だよ。僕はストーリーを語るためにもいろいろなことをやっているんだ。もっと映画を素直に楽しんで見て欲しいって感じだよ。


Q:シャマラン監督といえば、カメオ出演が有名ですが、やっぱり楽しみなんですか?

そのとおり。でも、今回はためらったんだよ。だって、出ると僕は楽しいけど、映画をファニーにはしたくなかった。それに僕が出ると、観客の気をそらすことになってしまうからね。第一、今回は時代ものだから、僕が出るのは難しかったんだよ。でも、そのうち、もっと本格的に演技をしたいと思ってるよ(笑)

Q:今回の作品で、村の人々が恐怖を引きずって生きていますが、監督にもそんな経験はありますか?

そうだね。最悪の悪夢が起きるかもしれないという恐怖。たとえば、机の上に倒れてペンに刺さって死ぬなんてことがあるかもしれない。あまり考え込むとパラノイアになってしまうけどね。でも、何もかもがうまく行き過ぎるときって、悪いことが起こりそうでね。だから、ぼくはすべて順調に行っているときは飛行機に乗らないんだ(笑)

超秘密主義で、「ネタバレ厳禁!」と言いながらも、シャマラン監督は新作に込めた思いやスリラー映画を作る楽しみを語ってくれた。早口で、次から次へと得意気に話す表情はまるで子供のよう。そして、最後には「30年後には、『シャマラン』という言葉がひとつのジャンルになっているのが僕の夢だ」と語っていた。スリラーの天才が目指すゴールはまだまだ遠く、果てしない……。

『ヴィレッジ』は9月18日より全国で公開。

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