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『十三人の刺客』山田孝之をヴェネチアで直撃!初の海外映画祭参加で「侍役は日本人にしか演じられない優越感」

第67回ヴェネチア国際映画祭

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山田孝之-ヴェネチア国際映画祭にて(ひげは現在撮影中の映画の役づくりだとか)
山田孝之-ヴェネチア国際映画祭にて(ひげは現在撮影中の映画の役づくりだとか) - Photo:Harumi Nakayama

 出演作『十三人の刺客』(28日公開)で第67回ヴェネチア国際映画祭に参加している山田孝之が、熱狂的な公式上映の興奮も冷めやらぬ現地時間10日、インタビューに応じた。

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山田は新作映画の撮影の合間をぬって急きょ、ヴェネチア入りを決めたのだが、「映画祭の雰囲気から皆が本当に映画の事を愛しているのが伝わってくる。オレって良い仕事しているんだなぁって思えた。たまにはご褒美じゃないけど、こういう瞬間を味わってもいいんだなと思いましたね」としみじみ語るほど、初の海外映画祭参加を満喫しているようだ。

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 山田は、『クローズZERO』シリーズに続いての、三池崇史監督作への出演となった。三池監督が海外で人気が高いことは噂で聞いていたが、目の当たりにするのは初めて。それは想像を上回るものだったという。「特に欧州でファンが多いと聞いていたけど、公式上映が終わったあとの鳴り止まない拍手を見て、皆、三池監督をリスペクトしているんだなと思いましたね」。

 その三池監督から山田は、熱いラブコールを受けて『十三人の刺客』に出演した。明石藩の暴君を暗殺するために集められた、幕府の御目付役・島田新左衛門(役所広司)を元とする13人の刺客たち。山田は新左衛門の甥・島田新六郎役で、三池監督が役所の次にキャスティングした精鋭だ。泰平の世に、死に場所を求めて暗殺計画に参加することになる侍たちの姿と、山田が持つ「大袈裟に言えば、生き場所というか、死ぬ場所を探しているように感じた」(三池監督)という独特な魅力が重なったのだという。山田は本格的な時代劇は初挑戦だったが、三池監督の期待に応えるべく馬術と殺陣の稽古に励むのはもちろん、撮影1年以上前から髪を伸ばして地毛で総髪を結い、まずは肉体から侍になるべく挑んだ。

 「ほかのキャストが月代のカツラを付けるというから、オレも普段帽子を被ればいいかと思って『剃りますか?』とスタッフに聞いたんですけど、『いや、そこまでしなくていいです』と。そのまんま結った感じがすごく自然だったので、このまま地毛でいくことになりました。でも自分の中で引っかかっていたのは、ちゃんとそこに生きているリアルな人間に見えるか。言葉使いは今と違うけど、なるべく自然に現代劇と時代劇のバランスを見ながら芝居していたという感じですね」。

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 そしてラスト50分に及ぶ13人の侍VS.300人の明石勢による一つの宿場町を丸々戦場に変えての決戦は、“死闘”と呼ぶに相応しい。9日に行われた公式上映では、侍たちの頭脳的な戦術が決まるたびに観客が手を叩いて喜ぶ大盛り上がりとなった。10日付のイタリア紙「コリエレ・デラ・セーラ」が「『七人の侍』のリメイクのよう。三池監督が観客を楽しませようと作っていることが、見事なエンタテイメントにつながっている」と評した。

 「劇中の浪人・平山(伊原剛志)で『戦に卑怯も武士道もない』というセリフが好き。侍はキレイなイメージだけど、やっていることは殺人でテロ行為だから。きれいごとではなくそう言い切っているところが人間らしくて良いですね。それと同時に改めて思ったのは、この侍役は日本人にしか演じられないだろうという優越感。それを、ヴェネチアの会場で味わえたのはうれしかった」(取材・文:中山治美)

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