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国際映画祭で料理映画部門が話題!「クリナリー・シネマ 映画と美食」で“世界一予約の取れないレストラン”のドキュメンタリーも

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映画の中だけでなくリアルに味わうこともできる料理映画部門-第59回サンセバスチャン国際映画祭
映画の中だけでなくリアルに味わうこともできる料理映画部門-第59回サンセバスチャン国際映画祭 - Photo:Harumi Nakayama

 第59回サンセバスチャン国際映画祭で今年はじめて設立された料理映画部門「クリナリー・シネマ 映画と美食」が話題を呼んでいる。

 同部門は、先に設立されたベルリン国際映画祭との共同企画で、ベルリンでも上映された東京・銀座にあるミシュランガイド3つ星獲得寿司店・すきやばし次郎のドキュメンタリー『ジロー・ドリームズ・オブ・スシ(原題)/ Jiro Dreams of Sushi』とアルゼンチンの有名なソムリエ、チャーリー・アルトゥラオラが失った味覚を取り戻すまでを描いた『ザ・ウェイ・オブ・ワイン(英題)/ The Way of Wine』を上映。ほか、2011年版ミシュランガイドで3つ星を2軒、1つ星を3軒持ち、美食の街として知られるサンセバスチャンならではの強力なラインナップがそろった。

 まず、惜しまれつつ今年7月に閉店した“世界一予約の取れないレストラン”ことスペインのエル・ブリが、いかにしてメニュー開発を行なっていたかに迫ったドキュメンタリー『エル・ブリ:クッキング・イン・プログレス(原題)/ El Bulli:Cocking in Progress』。「世界のベストレストラン50」に2010年と2011年の2年連続で1位に選ばれたデンマーク・コペンハーゲンのレストラン・ノマの裏側を描く同『ノマ・アット・ボイリング・ポイント(原題)/ Noma At Boiling Point』。サンセバスチャン郊外にあるミシュラン2つ星レストラン・ムガリッツの料理と音楽のコラボレーションを楽しむ『ムガリッツ ビーエスオー(原題)/ Mugaritz BSO』など計8作品。さらに「映画と美食」のサブタイトル通り、各作品上映後に指定レストランに予約すると、映画にちなんだ料理を実際に味わえるという、まさに心とお腹の両方を満たすプロジェクトだ。

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 指定レストランも劇中に登場するレストランに負けず劣らずの名店ばかり。例えば『エル・ブリ:クッキング・イン・プログレス(原題)/ El Bulli:Cocking in Progress』観賞後のディナーを担当したのは、今年はじめてミシュランの1つ星を獲得した地元セバスチャンのミラドール・デ・ウリア。エル・ブリと言えば料理に化学や物理を持ち込んだ分子調理法で知られるだけに、この日のメニューも、液体窒素で白い煙を立ち上げたオリジナルカクテルに始まり、エスプーマと呼ばれる器具を使って泡立てたソースを地元のタラにかけた「ドノスティア・メルルーサ」(サンセバスチャン風タラ)が登場。また、映画祭にちなんで「レッドカーペット」と名付けられた赤く染めた薄切り林檎にフォアグラを載せた愛らしい一品など、目にも楽しい料理15品が約4時間に渡ってテーブルの上を彩った。

 ほか、『ジロー・ドリームズ・オブ・スシ(原題)/ Jiro Dreams of Sushi』は水族館に併設されたレストラン、ボカド・アクアリウムで寿司と地元のピンチョス(タパス料理)を、『ムガリッツ ビーエスオー(原題)/ Mugaritz BSO』はもちろんムガリッツが担当した。値段はいずれも映画祭特別料金で、飲み放題のシャンパン込みで50ユーロ(約5,150円)とリーズナブルだ。

 この遊び心あふれた企画に美食家たちは敏感に反応し、いずれも予約でいっぱい。中にはクリナリー・シネマだけを目当てに来たというフランスの映画関係者もおり、連夜に渡って美食三昧を楽しんでいた人たちもいた。同映画祭の名物企画として今後さらなる進化を遂げそうだ。 (取材・文:中山治美)

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