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イタリアの右派は不道徳でスキャンダルを隠蔽している…イタリアの女性監督が語る

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新作について語ったフランチェスカ・アルキブージ監督
新作について語ったフランチェスカ・アルキブージ監督

 映画『かぼちゃ大王』でカンヌ国際映画祭エキュメニカル審査員賞を受賞したイタリアの女性監督フランチェスカ・アルキブージが、ニューヨークのリンカーン・センターで行われた Open Roads: New Italian Cinema で上映された新作『アン・イタリアン・ネーム(英題)/ An Italian Name』について語った。

【動画】フランチェスカ・アルキブージ監督作『ハートの問題』

 不動産ブローカーのパオロ(アレッサンドロ・ガスマン)が、妻で政界スキャンダル本「Night of F」のベストセラー作家シモナ(ミカエラ・ラマツォッティ)とローマ郊外で暮らしていたある日、パオロの妹ベッタ(ヴァレリア・ゴリノ)の自宅に招待され、ベッタの夫サンドロ(ルイジ・ロ・カーショ)と風変わりな友人クローディオ(ロッコ・パパレオ)と食事をすることになるところからスタートする本作。子供の頃から付き合いある彼らは、過去の出来事をきっかけにいつしか中傷し合っていく……。

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 フランスで1度映画化されたフランスの舞台劇を基に手掛けた本作について「映画版を参考にせず、基となった舞台をパリで鑑賞した際に影響を受けて製作したの。そんな舞台の脚本を基に製作する上で、二つの異なった世界(フランス版とイタリア版)をクリエイトする必要があり、構成上は舞台劇に似ているけれど、内容は全く異なったものに仕上がった」と明かした。

 シモナの本「Night of F」の登場人物は、イタリアのベルルスコーニ元首相をほうふつさせ、イタリア政界の風刺のように思える。「シモナもベルルスコーニも、イタリアの文化の産物だけれど、このような政界スキャンダルがイタリアに根付いたことで、ある意味今は文化が失われているわ。一般的に右派政権は家族の価値を守っているのに対し、イタリアの右派は不道徳で、大概スキャンダルを隠蔽(いんぺい)している。今作でもシモナの作品を通してそれを伝えたかった」と語った。

 映画『レインマン』のヴァレリア・ゴリノの出演について「ヴァレリアは5か国語を話せる女優で、まるでテニス選手みたいに、どこの国に行っても、テニスのラケットを持ってスイングができるようなものなの。彼女とは(実生活でも)親友で、彼女と仕事をするときは、仕事以上の関係を築いている。彼女は本当に素晴らしい女優で、英語、フランス語、ドイツ語、ギリシア語、そしてイタリア語圏の作品に関われるわ」と評価した。

 映画は、現代のイタリア社会を風刺しながら人間関係を浮き彫りにした秀作。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)

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