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熊本映画館、いち早く営業再開「こんなときだから」

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映画で熊本を盛り上げる窪寺洋一代表
映画で熊本を盛り上げる窪寺洋一代表

 4月中旬に、熊本県を中心に起こった地震の影響で、県内各地の映画館は休業を余儀なくされているが、そんな中、5月7日にいち早く営業を再開したのが、熊本市内で営業するDenkikanである。同館の窪寺洋一代表に熊本でいま映画を上映する思いについて聞いた。

 Denkikanは、1911(明治44)年に開館、熊本県内では最古の歴史を持つ映画館。ビルの2階、3階、5階に3つのスクリーンを有し、カフェも併設。熊本の文化発信基地として、多くの映画ファンに親しまれてきた。4月中旬の地震の際には、5階のスクリーンの天井にある換気口の1つが落下したものの、全体的には倒壊などの大きな被害には至らず、点検にやってきた業者も「ここまで大丈夫なのは奇跡に近い」と驚くほどだったという。

 その後、スタッフ全員の無事を確認。営業に向けて清掃・点検などを経て、3つのスクリーンが使用可能となった。しかし、余震がまだ終息していない状況であるため、まずは5月7日から被害が最も少なかった2階のスクリーンで『スポットライト 世紀のスクープ』と『ロパートキナ 孤高の白鳥』を上映。窪寺代表も「正直、まだ映画を観られるような状況ではないのではないかと思っていたんですけど、開けてみたら意外とお客さんがたくさん来てくれた。皆さんが映画館のオープンを待ってくれて、ありがたい」と述懐する。

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 そして現在は、3階、5階のスクリーンでの上映も再開。夜の上映は控えているものの、「4月16日以降に上映予定だった作品は全部上映します」と窪寺代表。街中の映画館が営業を再開したことからも分かる通り、熊本市内の日常は少しずつ戻りつつある。「熊本市内では、電車もバスも新幹線も走っていますし、スーパーだって開いています」と切り出した窪寺氏は、「テレビでは被害のひどい地域の映像ばかりが映し出されるので、あの映像を観ると熊本市内も相当ひどいことになっているんじゃないかと思われるかもしれません。もちろんニュースで報じられていることは事実ではあるんですが、それでも実際にこちらに来ていただくと日常の生活が戻っている人も多いんだなということに気付かれると思います」とコメントした。現在、熊本県内にある7つの映画館のうち、営業を再開しているのは天草市の本渡第一映劇、宇城市のTOHOシネマズ宇城、そして熊本市内のDenkikan。その他のシネコンの営業の再開時期は未定のままである。

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Denkikanはいち早く営業を再開した

 それだけにDenkikanに寄せられる期待は大きい。5月21日からは、熊本出身の行定勲監督がメガホンをとった短編映画『うつくしいひと』をチャリティー上映。地震の前に撮影を敢行した同作には、震災前の熊本城をはじめとした「うつくしい熊本」が映し出されており、会場には大勢の観客が来場。急きょ上映回数を増やすほどの大盛況となった。さらに今月は熊本出身の落語家・桂伸三、そしてゲストに笑福亭鶴光らが参加する落語会なども予定されている。「こんな時だから笑いも必要。通常通り、今まで通り。熊本の文化活動をすべて辞めてしまうのではなく、やれるものは全部やろうということです」と話す窪寺代表は、「まだ気象庁も地震の終息宣言を出せない状態ですし、被害が大きかった方もいるので、熊本に来てくださいとはなかなか言いづらい状況です。それでもまずは熊本の物産品を買ってもらうだけでもありがたいですし、もし可能ならば熊本に来てもらって、お金を使ってもらえたらありがたい」と現状を訴えかけた。(取材・文:壬生智裕)

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