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ドラッグ依存の息子との母子関係を描いた話題作、監督が語る

ニューヨーク映画祭のディレクターも務めるケント・ジョーンズ監督
ニューヨーク映画祭のディレクターも務めるケント・ジョーンズ監督

 ニューヨーク映画祭のディレクターを務めるケント・ジョーンズが、監督・脚本を務めた話題作『ダイアン(原題)/ Diane』について、3月25日(現地時間)、ニューヨークのSVAシアターでの特別上映後のQ&Aで語った。

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 がんを患う従姉妹の面倒を見たり、ボランティア活動をしながらマサチューセッツ州の小さな田舎町に暮らす年配の女性ダイアン(メアリー・ケイ・プレイス)は、ドラッグ依存症の息子ブライアン(ジェイク・レイシー)に悩まされていた。だがある日、ブライアンが突如姿をくらましてしまう。映画『ヒッチコック/トリュフォー』のジョーンズ監督がメガホンを取った。

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 当初は、あるミュージアムで起こる人間模様を描こうと思っていたというジョーンズ監督。「でも、年月を経てストーリーを発展させていく過程で、いつしか親子が生きているうちに、関係を修復しようとする設定になっていったんだ。僕の友人には以前、リハビリを経てドラッグの依存症から回復した人がいてね。彼の体験も含めたんだよ」

 そんな友人の体験は、劇中で母ダイアンの過去のドラッグ体験を描かれているものの、自身の体験を息子には語らないという設定にも反映されているという。「多くの依存者はリハビリに行くが、それが全く意味をなさないこともある。ドラッグを一度デトックスしても、しばらくしてまたリハビリに戻ってくる人もいて、僕の友人もそうだったんだ。でも最終的に、彼がドラッグをデトックスできたときは、誰の助けも借りずに、自分で(ドラッグを)やめたんだ。おそらく、多くの人がドラッグをやめるように言っても、本当の意味で、自分の意志から来ているものではないからだと思うんだ」

 ダイアンを演じたメアリーのキャスティングについては「今から20年以上前にフランシス・フォード・コッポラ監督の『レインメーカー』でのメアリーの演技に圧倒され、もし長編映画を手掛けることになったら、彼女を主役に据えて描こうとずっと思っていたんだ。だから、脚本も他の女優のことは考えずに、彼女を念頭に置いて書いていたよ」と明かした。

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 マーティン・スコセッシが製作総指揮を務めていることについては「彼に会ったのは1991年で、すぐに彼が所有するビデオや映画の保管人になったんだ。その後は、彼が製作したドキュメンタリー映画『マーティン・スコセッシ 私のイタリア映画旅行』の脚本を務めたり、映画『ア・レター・トゥ・エリア(原題)/ A Letter to Elia』(日本未公開)では、共同監督も務めた。1940年代の映画プロデューサー、ヴァル・リュートンを描いた映画『ヴァル・リュートン:ザ・マン・イン・ザ・シャドウ(原題)/ Val Lewton: The Man in the Shadow』でも彼とタッグを組んだよ。僕らは長年コラボしてきた友人で、いつも僕が映画を製作する際に勇気付けてくれるんだ」と感謝した。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)

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