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渡辺謙、一度断っていた!日本大使公邸人質事件描く『ベル・カント』

『ベル・カント とらわれのアリア』ジャパンプレミアに登壇した渡辺謙
『ベル・カント とらわれのアリア』ジャパンプレミアに登壇した渡辺謙

 俳優の渡辺謙が9日、都内で行われた映画『ベル・カント とらわれのアリア』ジャパンプレミアイベントに共演者の加瀬亮と共に来場し、本作出演時に感じたという運命的な縁について語った。1996年にペルーで起きた日本大使公邸占拠事件に着想を得たアン・パチェットの小説を映画化する本作で、渡辺はテロリストの人質となる実業家を演じている。

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 本作は、アン・パチェットの小説に基づき、南米国家の副大統領邸でテロリストと人質との間に生まれる交流を描く物語。大勢の観客で埋まった会場内を見渡した渡辺は「2年半ちょっと前になるんですが、ニューヨークとメキシコでこの映画を撮ってきました。なかなかハードな内容なんですけど、いろいろな人間の機微が描かれている人間ドラマになります。そんなに長い作品ではないんですがたっぷりとお楽しみいただければ」とあいさつ。渡辺演じるホソカワの通訳を演じた加瀬も「ずいぶん前に撮った映画ですけれども、ようやく日本でも観てもらえることになって。うれしく思います」と続けた。

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ベル・カント
共演の加瀬亮と

 渡辺は出演の経緯について「このお話が来たのは、(2001年の)911の直後くらいだったんです」と切り出すと、「でもその時は、911の後にテロリストを題材にした映画に出るのはどうなんだろうと。そういうこともあって遠慮させていただいたんです」と述懐。それから時を経て、ポール・ワイツ監督が再び手を挙げ、渡辺のもとにオファーが舞い込んだという。

 「実は、(本作のモデルになった)ペルーの『日本大使公邸人質事件』の1週間前に、(ペルーの首都)リマにいたんです。1か月くらいペルーを旅して。それから1週間後にあの事件が起きたんです」と明かした渡辺は、「そのドキュメンタリーも、事件が解決するまでお蔵入りとなっていたんですが、もし1週間後までリマにいたら僕も巻き込まれていた可能性があった。だからポール・ワイツがやりたいと言った時に、これは宿命だと。これをやらないと先に進めないと思い、お受けしました」と経緯を明かした。

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 なお、加瀬が演じる通訳の名前は、ゲン・ワタナベ。「実は原作者が、謙さんのファンなんですよ。だからゲン・ワタナベとつけたんだと思います」と説明した加瀬に対して、渡辺は「俺はこっちの役がいいからやらせてくれと言ったんですけどね。でも年齢的に無理でした」とジョークを交えたリアクション。これに対して加瀬が「謙さんの前で、自分の役名を言うときは恥ずかしかったですね」と振り返ると、渡辺も「彼が現場で(語学などで)大変な思いをして、苦しんでいるのを、ある種、頼もしく見ていました。言ってみれば、そんなに大きな予算の映画ではないんですが、頼もしい後輩がリードしてくれているのがうれしかったですね」とチームプレーを振り返った。(取材・文:壬生智裕)

映画『ベル・カント とらわれのアリア』は11月15日より全国公開

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