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2005年11月

私的映画宣言

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ライター
見かけによらず、子ども好きな私。一部ではオスメント君好きで知られてます。そ んな私の新アイドルは『ザスーラ』のジョナ・ボボ君。下膨れ顔にぽかんと開いた口、 ちょっとハスキーで舌足らずの甘えたような喋り方も最高。NY出身でヤンキースファンだそう。何もかもがかわいい!
ライター
目下、川本三郎著の「時代劇ここにあり」にハマッてます。名作時代劇の内容、見どころなどさまざまなことが書かれてあり、読み応え十分。おかげで観たい買いたい名作ソフトが多数。でも、その前に、片付けてないビデオの整理をしないと。今のところに引っ越して1年、まだビデオの山が押入れに何個も積まれたまんま……。
ライター
皆さん、ドラマ「花より男子」見てます? 中山さん猛烈プッシュの阿部力君がF4の一人、美作あきら役で出ています。フォト・エッセイ集「李冬冬=阿部力 ~大停電の夜に、東京で~」と映画『大停電の夜に』もヨロシクね。と、今回は思いっきり宣伝してみました。
Mr.&Mrs.スミス

ブラッド・ピットとアンジェリーナ・ジョリーが夫婦役で競演するアクション・エンターテインメント。監督は『ボーン・アイデンティティ』のダグ・リーマン。お互いの正体を暗殺者と知らず、すれ違いの生活を送る夫婦をコメディタッチに演じるブラッド・ピットとアンジェリーナ・ジョリーの演技が光る。特にキッチンでの戦いは迫力満点。

英題: Mr,&Mrs,Smith
製作年: 2005年
日本公開: 2005年12月3日
上映時間: 1時間58分
スコープサイズ/ドルビーSRD


ざっくり楽しい映画。頭脳も駆使する肉体派ジョリーさんと、バカだけど肉体はすごく、勘も動物並みに優れたブラピさんの一騎打ち。キャラが似合い過ぎて笑う。スター二人の映画だから、細かい設定はあえて無視なのか、これでいいのかとツッコミたくなる箇所がたくさんある。が、きちんと問題を解決させなかったのは、シリーズ化を狙ってのことかもしれない。ジョリーさんは同性人気も非常に高く、アクションも素晴らしいので、元祖ベニファーのようなトホホ感はなかったけど、ダンスシーンのうすら寒くなるようないちゃつきっぷりはどうなのか。引いている周囲の人たちの様子は演技でなく本気かも。最初の夫はジョニー・リー・ミラーだし、普通に面食いなのかな、ジョリーさん、ちょっと幻滅。


冒頭、出会った二人が、いきなり情熱的なベットインしちゃったら、どうしたって頭に浮かぶは、巷に流れるブラピ&アンジェリーナ情報に基づくあんなことこんなこと。おまけに、劇中でもすでにプラピはアンジェリーナの尻に敷かれてます。んー、これが良かったのか、ブラピ……。というわけで、ストーリーなんか二の次。特に、私は物欲の目で見ました。二人が住むセレブな豪邸がやがて戦いの場になり、機能的かつ美しいキッチンやリビングを破壊しまくる。ダミーとわかっていても、あー、もったいない。私にくれたら毎日磨くぞ。愛でるぞ、この美しいキッチンを。そしてアンジェリーナのエレガントなファッションに見惚れた。彼女が逃げるときに、イッキに糸がほどけてロープになった編みバッグ、ほ、欲しい


最初にブラピとアンジーの交際の噂が出た時、「ウソくせぇ~、宣伝だっぺ」と思っていたのだが、映画を見て「こりゃデキてるわ」と確信。劇中、家の中で壮絶バトルを展開するシーンがあるのだが、マンガ風に表現すれば、「おりゃぁ~!!!」「うりぁ~!!!」ってな感じで、容赦なさ加減がスゴイ。カメラワークの上手さを差し引いても、これはめっちゃ愛し合ってるか、ものすごく憎しみ合っているかのどっちかだね。まっ、それくらいアクションシーンが痛快で、良いってことですわ。ただ哀しいかな、アンジーは『トゥームレーダー』シリーズより動きも良いし、女っぷりも上がっているんだけど、ブラピに色気がない! 男も見られてなんぼ。いい作品に出会って、もっと働かんとね。

ハリー・ポッターと炎のゴブレット

世界的ベストセラーとして知られるファンタジー小説「ハリー・ポッター」シリーズの映画化第4弾。ハリーとその仲間たちには、ダニエル・ラドクリフらおなじみのメンバーたちが続投し、成長した姿を見せる。監督には『フォー・ウェディング』など、ヨーロッパで高い評価を受けるマイク・ニューウェルが起用され、よりドラマ色の濃いアドベンチャー作品に仕上げた。年ごろの男の子に成長したハリーが、初めて経験する恋の行方も見逃せない。

英題: HARRY POTTER AND THE GOBLET OF FIRE
製作年: 2005年
日本公開: 2005年11月26日
(丸の内ピカデリー1ほか)
配給: ワーナー・ブラザース映画
(C)2005 Warner Bros. Entertainment Inc.Harry Potter Publishing Rights (C) J.K.R.




前作のコメントでロンの双子の兄に注目と書いた私ですが、そう思ってたのは私だけじゃないらしい。主役3人の微妙な成長期を危惧してのことか、このイケメン二人が意味なくフィーチャーされまくり。イエモン吉井和哉似×2人、不自然に出番多し。んで、こんな長いのか! ダニエル君もヨン様風味で、周りが言うほどひどい成長でもないと思うんだけど。なのに、今回は3人が3人とも恋する季節にされちまって、その無理やりなお年ごろ感演出の方が気になる。ロンとハーマイオニーの痴話げんかとか見たくないっての! 個人的には、コスプレマニアのゲイリーさんとレイフさんのメイク対決に爆笑。レイフさんは余りに気分が高揚したのか、妙にハイな演技。いい加減、普通の人の役もやっておくれ。


どんどん暗くなる話だとはわかっていたけど、ホントに暗いよー。冒頭いきなり人が死ぬし、いったいいつになったら、画面明るくなるんだよってぐらい、闇の中のシーンばかり。魔法学校のシーンも暗いし……。で、やっばりオドロキはハリー、ロン、ハーマイオニーたちがイッキにオトナの階段を上がり、色気づいてます。特に入浴シーンでは、すでにたくましい胸板をお持ちのハリーがセクハラまがいを受けるHなシーンもあり、もはやファンタジーの世界ではありませんな。それにしても、三大魔法学校対抗試合の中身、お話の世界とはいえ、ひどくないか。湖の中での闘いなんて、教育的にどーなのよ。大迷路だって、おっそろしい仕掛けがいっぱい。そんな試合をノーテンキに見てる生徒や親のほうがヴォルデモード卿より、よっぽどコワい。


"ハリポタ"に格別な思い入れのない筆者としては、映画が終わった瞬間、「まだ続くんだ……」とぐったり。「踊る大捜査線」シリーズが、97年のドラマ開始当初から"本庁"と"所轄"の風通しを良くすることを目標に、室井と青島が友情を誓い合ったにも拘わらず一向に良くならないことにヤキモキしたように、ボグワーツ魔法学校って、毎回、不審者に侵入されっぱなし。狸のばかしあいなのかもしれないけど、「なぜ気付かない」、「そこで魔力は発揮出来ないのか」とヤキモキしっぱなし。西洋の魔術に東洋の威力が通用するのか分からないけど、結界を切ることをオススメします。で、早く魔法学校を卒業してくれないかね。ハリー君。

イン・ハー・シューズ
『L.A.コンフィデンシャル』『8Mile』のカーティス・ハンソンが、キャメロン・ディアスを主演に迎え、女性の自分探しを描いた感動作。製作にリドリー・スコットも名を連ねる。共演に『アバウト・ア・ボーイ』のトニ・コレットとベテラン女優のシャーリー・マクレーン。内面にコンプレックスを持っている妹と外見にコンプレックスを持っている姉の心のすれ違いと葛藤(かっとう)を女優たちが見ごとな演技で表現する。

.英題: IN HER SHOES
製作年: 2005年
日本公開: 2005年11月12日
(有楽座系)
上映時間: 2時間11分





役どころに関していえば、完全にトニ姉が得。いくら問題があっても、あんな勝手な妹、許したくないよ。しかもかわいくて、ナイスバディーなので、たちが悪く、さらに姉の心配をよそに結構、気楽に図太く生きていて……泣きたいのはこっちの方だよと姉に代わって言いたいね。働く女性の支持率は完全に姉100%だろう。ただし、キャメロン妹は共感できるポイントはほとんど皆無のはずなのに、どうにも憎めないところがさすが。彼女にしかできなかった役だ。一番の見どころはクローゼットの靴コレクション。バッグと靴ってどうしてこうも女を悩ましい気持ちにさせるのか。やっぱ勝手に履いてダメにしたキャメロン妹、許せん。ところでアイスに牛乳かけて食べるのっておいしいのか。お腹壊しそう。


私も二人姉妹で、妹と一緒に生活してた時、OLしてた妹の服を黙って借りて、後ですんごく怒られたこともあるんで、いろいろと共感……。キャメロンがハマリ役なのは一目瞭然だけど、トニー・コレット扮する生真面目な姉の変貌ぶりはいい。恋人が出来て、瞬く間に人生に輝きを取り戻していくあたり、見ているこっちまで楽しくなってくる。そして何よりすごいのはシャーリー・マクレーンの健在ぶり。シワもシミも人生の重みを感じさせて、ダメ孫娘との対比になってる。もっとも若い女性が人生のやり直しを図る場所が老人施設という設定は、安易にも思う。でも、キャメロンと盲目の大学教授や老婆との触れ合いが人生をやり直したい女性のエピソードにわざとらしくなく、リンクしている。音楽センスもいい。


姉妹の友情モノとして、悪くはないと思うんですよ。でも、妹に彼氏を寝取られているんでっせ。紆余曲折あるとはいえ、結構、穏便にチャン!チャン!と終わるのが解せない。何てったってこちとら、内舘牧子のドラマで育っている世代なんで、物足りないんですわ。同じく、姉妹で一人の男性を奪い合うドラマ「想い出にかわるまで」(90)では、姉の婚約者だと知りながら妹が押し掛けて、迫って、もうドロドロ。ちなみにこのドラマでは、今井美樹と松下由樹のジャンボ姉妹が石田純一(注:この頃は絶頂期)を奪い合うんですけどね。この映画の姉妹があまり遺恨を残さなかったってことは、奪い合う男が大したことなかったってこと? 

 親切なクムジャさん

『オールド・ボーイ』『復讐者に憐れみを』のパク・チャヌク監督による復讐三部作の完結作。主演は国民的美人女優と言われるイ・ヨンエ。『オールド・ボーイ』のチェ・ミンシクも共演者に名を連ねる。13年、無実の罪で服役したクムジャが刑務所で囚人たちのカリスマ的存在になっていく過程に本作品の怖さが潜む。美しいイ・ヨンエの悪女ぶりは一見の価値あり。

英題: SYMPATHY FOR LADY VENGEANCE
製作年: 2005年
日本公開: 2005年11月12日
(シャンテシネ ほか)
上映時間: 1時間52分
配給: 東芝エンタテインメント
ドルビー





チャヌク監督の作品は好きなのだが、これはぎっりぎりアウトでは? 私の中でも、素直に楽しんじゃっていいのかなぁといろいろ葛藤してしまったので、良識を重んじるような真面目な人は断固、拒否でしょう。何だろう、この何ともいえない嫌な気分は。復讐三部作の前2作は罪を犯してしまう人が実際のところは善人だったり、理由があったりしたのだけど、今回の復讐される男は自分の私利私欲のために罪を重ねる理解できない奴だったのが気持ち悪かったのかな。現実には惨い犯罪があふれてるといえばそれまでだが、チャヌク作でも今作は特にエンターテインメント性が強かったので、そのギャップが自分で消化しきれなかったのかも。女処刑人っていうアイデアは好きだったけど、う~ん微妙。


パク・チャヌクの復讐三部作として、期待していたが、なんか、やなもの観たな、というのが正直な印象。前作の『オールド・ボーイ』、前々作の『復讐者に憐れみを』も、後味がいいとは言わないが、復讐者たちの心情を考えてみたり、ドラマとしての面白さもあったし、ブラックな笑いも楽しめた。でも、今回は復讐劇と思って観ていたら、ハシゴを外されるし、やけに登場人物が多くて話自体もわかりづらい。ブラックな笑いも空回りしてるみたいだし……。結局、印象に残ってるのは下品でエゲツない描写ばっかりなので、この評価。ドラマ『宮廷女官 チャングムの誓い』でイ・ヨンエのファンになった方々は間違いなく、真っ赤なアイシャドーのクムジャさんメイクの彼女にドン引きするぞ。

 



イ・ヨンエを初めて取材したのは、『JSA』の取材で韓国に行った時でございました。正直言って、『JSA』はミス・キャストだと思ったし、「そこそこキレイなだけで、当たり障りのない女優だなぁ」と思いつつも、当時、韓国ではCMに出まくっていたので"韓国の松嶋菜々子"ってことで大々的に取りあげましたよ。そんな彼女があれから約4年の歳月を経て、『女囚さそり』のようなシーンに挑めば、残虐な殺戮シーンもこなすなんて。なんだか目頭が熱くなっちまった。個人的にも、パク・チャヌクの復讐シリーズ3部作の中では、まだ生理的にイヤな所も多いけどコミカルなシーンが多い分、見られるかな。ストーリー展開の上手さは『オールド・ボーイ』に負けるけどね。

 エリザベスタウン
『ロード・オブ・ザ・リング』で人気がブレイクしたオーランド・ブルームと『スパイダーマン』のキルスティン・ダンストが共演した心癒される感動作。監督・製作・脚本は『ザ・エージェント』や『バニラ・スカイ』のキャメロン・クロウ。製作にはトム・クルーズも名を連ねる。スーザン・サランドンやジェシカ・ビールなど女優陣もはなやか。オーランド・ブルームの普通の青年役は自然体で好感度高し。

英題: ELIZABETHTOWN
製作年: 2005年
日本公開: 2005年11月12日
(日劇1 ほか)
配給: UIP




オーランド君演じるドリューがどうにも視界が狭い、打たれ弱い、了見の小さな男。まさに成田離婚されるタイプの人。旅をしたことない奴って、すぐ動揺するし、自分で判断できないし、人間力レベルが未熟。この映画を見て、旅の必要性を実感した。それはそうと選曲センスがやっぱり最高。音楽に関してはクロウ監督に裏切られたことがない。特に『あの頃、ペニー・レインと』に続き、今回もレイナード・スキナードがフィーチャーされていてホクホク。『フリーバード』の歌詞とドリューの成長が上手くマッチしていて、葬儀の場面にはうるっ。やり逃げ男の歌でもあるあの名曲を、素晴らしい出発ちの歌にすり替えていた! でも、サランドンのタップダンスにはどう反応してよいのか、正直、わかんない。


監督キャメロン・クロウの半自伝的作品。つまり、オーリーはキャメロンってこと!?  まあ、『あの頃、ペニー・レインと』も半自伝的だったけど、それを上回る自己愛のキツさ。そもそも、物語には亡くなった父親やその故郷への思いが強く込められているだけに、描きたかったことがてんこ盛り。でも、葬儀シーンでスーザン・サランドンがまだ習い初めたばっかりのはずのタップダンスを延々踊ったりとか、なんかどーでもいい話に時間を割いて、肝心の主人公の描写が薄いような……。ま、自分がないから、キルスティン扮する女に完全にハメられるのか。とはいえ、彼のドライブに合わせた選曲の凄さには脱帽する。ただスッチーって、そんなに暇か? 本作では何度もそう思いたくなるシーンがあります。


うぉぉ~!ぬるい、ぬるいなぁ、この映画。仮にも、会社に大損害を与えて死のうと思った男が、さらに父親まで死んじゃって……という話でっせ。なのに悲壮感とか、人生の重さを感じるようなシーンがまるでナシ。恐らく、キャメロン・クロウ版、伊丹十三の『お葬式』を目指したんだと思うんだけど(知らねぇーか)、ハリウッド映画の性で、下手に恋愛を絡ませてきたのが痛かった。オーリー君が米国のド田舎で、一癖も二癖もある親類たちに振り回される。それだけで良かったんじゃないかね。オーリーが開発したっていうシューズも、何が何だか良く分からなかったし。ただ、コスプレを脱ぎ捨てて、生身の美しいオーリーを堪能出来たのは目の保養に良かったけど。

イラスト:micao

 

 

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