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第16回 フランス・アヌシー国際アニメ映画祭&マーケットの魅力に迫る!

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ぐるっと! 世界の映画祭 第16回 アヌシー国際アニメーション映画祭およびアニメーション見本市

オタワ、ザグレブ、広島と並んで世界四大アニメ―ション映画祭に数えられるフランス・アヌシー国際アニメーション映画祭およびアニメーション見本市。第37回大会(現地時間2013年6月10日~15日)に吉浦康裕監督『サカサマのパテマ』が招待上映されました。同作品の海外配給担当で、2003~2004年の東京国際映画祭プログラミング・ディレクターを務めたアスミック・エース株式会社国際部の吉田佳代さんがレポートします。(レポート:吉田佳代、写真:吉田佳代 / 吉浦康裕、編集・文:中山治美)

アヌシー国際アニメーション映画祭およびアニメーション見本市公式サイト

カンヌから独立

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上映会場の一つシネコン「Decavision(デカビジョン)」

カンヌ国際映画祭からアニメーション部門が独立し、1960年にスタートした世界最古のアニメーション映画祭。第37回はアートディレクターが代わり、カナダ人のマルセル・ジャンが就任。会期中は80か国から長短編236本が上映されたほか、ポーランドを代表するアニメーション作家イェジー・クチャには長年の功績を称えて特別クリスタル賞が贈られた。

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スニークプレビューは生誕50周年を記念して製作された3D版『カリメロ』© D. Bouchet/CITIA

「まさにアニメファンの巣窟で、毎年6月はここでアニメを観ることを年中行事にしている常連によって支えられており、どの上映も大混雑。それでも行列を作っている間に、皆が気軽に映画の感想を話し合ったりする仲間意識が強いですね。全体的に映画祭は、温かいムードに包まれていました」(吉田さん)。

ワールドプレミアは大盛況

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映画『サカサマのパテマ』は11月9日より全国公開。© Yasuhiro YOSHIURA / Sakasama Film Committee

『サカサマのパテマ』は招待作品枠での上映だが、ワールドプレミアをアヌシーで行ったことはアニメ界への影響力を考慮した上での戦略だ。

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記者会見を行う吉浦康裕監督

2回の上映はいずれも完売と、期待度の高さがうかがえた。「会場で吉浦監督の前作『イヴの時間』を観たことがある人を尋ねたら、ほぼ全員が挙手したのには感激しました。インターネット配信で観賞したようです」(吉田さん)。

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会場で配布した『サカサマのパテマ』のフランス語のチラシ

上映後の会見は約1時間にも及び、「地下世界から降ってきたパテマと、エイジにもし子どもができたらどちらの重力で立つのか?」という鋭い質問も飛び出し、これには吉浦監督も大爆笑。また、観客から「すてきなえいがをありがとう。」の言葉が添えられたパテマのイラストをプレゼントされるといううれしいサプライズもあった。

セールスも好調

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野外上映された『モンスターズ・ユニバーシティ』のマイクとサリーも会場を彩る

映画祭にはMifaと呼ばれるマーケットも同時開催されており、『サカサマのパテマ』は会期中、北米とドイツの配給会社との契約が成立した。

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ミッキー・マウスは今年で誕生85周年!それを記念し、1928年に製作された短編『ゲット・ア・ホース(原題) / Get a Horse! 』を甦らせたアニメーターのエリック・ゴールドバーグがトークイベントを開催© E. Perdu/CITIA

「バイヤーは観客の反応を非常に注意深くチェックして、買い付けのバロメーターにしている」(吉田さん)ということで、吉田さんが準備したのは、観客のためのフランス語と英語のチラシ。これが好評で所望する観客が殺到。また吉浦監督もイラスト付きでサインに応じ、観客との交流を図ったという。

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『怪盗グルーのミニオン危機一髪』もスニークプレビューで上映。© A. Simonnot/CITIA

「アヌシーに招待された吉浦監督ですが、ジブリ大友克洋細田守両監督のようなビッグネームではなくまだまだ新人なので、地道に宣伝活動をするしかない。吉浦監督も自らチラシ配布を買って出られていました」(吉田さん)。そのかいもあり、フランス、ベルギー、スイスなど6か国で公開が決定(10月上旬現在)。

街全体が映画祭会場

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アヌシー入りした吉浦康裕監督

アヌシーまでは、成田からジュネーブに飛行機で入り、そこからタクシーで約30分かけて到着。招待作品なので、監督の4日間の宿泊費だけ映画祭側が出してくれたという。「映画館や特設会場などが街中に点在し、中世の建築が残る街並みを観光気分で散策しました。

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アヌシー湖周辺に映画祭会場が点在しているので、気分転換にひと泳ぎも可能。

街の名所であるアヌシー湖は、富豪が別荘を構えた風光明媚(めいび)なリゾート地。最終日に湖一周の観光ボートに乗り、仕事を忘れた40分間は最高でした」(吉田さん)。

チーズ料理が有名

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牛ひき肉とマッシュポテトの重ね焼「アシ・パルモンティエール」にチーズをたっぷりかけて。アヌシーはチーズ料理が名物で、街にはチーズフォンデュの名店「Le Freti」(ル・フレッティ)も。

スイスにも近いサヴォワ地方に位置するアヌシーはチーズが特産物で、郷土料理はチーズフォンデュ。中でも有名なのはチーズ料理専門店「Le Freti(ル・フレッティ)」。「プレーン味とトリュフ味とスパイシー味の3種類を皆で楽しみました」(吉田さん)。

牛ひき肉とマッシュポテトの重ね焼きアッシ・パルマンティエもたっぷりチーズを掛けて。吉浦監督もツイッターで「フォンデュやらキッシュがやたらおいしいです」と感激のつぶやき。

片言の英語でも交流を!

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映画祭バッグは黄色のほか、赤・青・紫があり。実用的なリュック型。

カンヌやベルリンをはじめとする国際映画祭に、バイヤーとしてだけでなく審査員などでも参加経験のある吉田さんから、アヌシーに参加する方たちへのアドバイス。「アヌシーはアニメのプロもアマチュアも参加し、セミナーなどで交流するアニメ界の交差点のような場所。

アニメ専門書店、原画を展示する公共施設、公園のど真ん中にスクリーンの設置などなど、前年話題を呼んだアニメを再上映するイベントもあるので、あいさつの一言を覚えておくくらいのオープンマインドな姿勢で参加するのが大切。吉浦監督のように、片言の英語でも通訳を介さないで話をすると、高評価を受けますよ」(吉田さん)。

映画『サカサマのパテマ』は11月9日より全国公開

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