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第72回:『THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦』『真夜中のゆりかご』『駆込み女と駆出し男』『チャッピー』『サンドラの週末』

今月の5つ星

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今月の5つ星

『第9地区』のニール・ブロムカンプ監督最新作『チャッピー』、「パトレイバー」実写版シリーズ完結編となる『THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦』、デンマークの女性監督スサンネ・ビアが、死んだわが子を他人の子供とすり替えた刑事の葛藤を描くサスペンス『真夜中のゆりかご』、大泉洋、戸田恵梨香、満島ひかりら豪華キャストが集結した離婚がテーマの時代劇『駆込み女と駆出し男』など、初夏の注目作をご紹介!

『THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦』

『THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦』
©2015 HEADGEAR / 「THE NEXT GENERATION -PATLABOR-」製作委員会

迫力の空中戦やガンアクションにド肝を抜かれる
周辺の景色を機体に投影する熱光学迷彩仕様の自衛隊の戦闘ヘリをテロリストが強奪。東京都民1,000万人の命が危険にさらされる中、警察用レイバーを擁する警視庁特車二課パトレイバー中隊が姿の見えない敵に立ち向かう。東京が舞台の「戦争」、第二小隊隊長の後藤田(筧利夫)を主人公に据えた会話劇、イングラムの活躍がクライマックスまで温存される展開も含め、傑作アニメ『機動警察パトレイバー2 the Movie』を思わせる本作。エンターテインメント性は格段に強化されており、特に本物のヘリとCGの「グレイゴースト」を組み合わせた、都心の空を舞台にした空中戦や、辻本貴則監督率いる第2班が手掛けたガンアクションは、昨今の日本映画ではまず見られない圧倒的な大迫力。現代社会を巧みに反映させた、観るほどに考察が広がっていく秀逸な脚本や、個性豊かな女優陣が演じる女たちの戦いなど、押井守作品ならではの魅力は少しもそがれておらず、「パトレイバー」を知らない観客、そしてディープなシリーズファンの双方を満足させる要素をたっぷりと詰め込んだ一本になっている。(編集部・入倉功一)

映画『THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦』は5月1日より公開

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『真夜中のゆりかご』

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『真夜中のゆりかご』
©2014 Zentropa Entertainments34 ApS & Zentropa International Sweden AB

人間が内包する矛盾に、思わず鳥肌が立つ
アカデミー賞外国語映画賞受賞作『未来を生きる君たちへ』をはじめ、『しあわせな孤独』『ある愛の風景』『悲しみが乾くまで』など、思わず言葉を失うような悲劇に見舞われ、やり場のない悲しみや怒りに苦しむ主人公たちを描き続けてきたデンマークの女性監督スサンネ・ビア。日本での最新作となる本作でも、ある日突然生後数か月の息子を失った刑事アンドレアス(ニコライ・コスター=ワルドー)とその妻アナ(マリア・ボネヴィー)の試練が描かれる。ショックのあまり、アンドレアスは薬物依存症のトリスタン(ニコライ・リー・コス)とその恋人サネ(リッケ・メイ・アンデルセン)の赤ん坊ソーフスと、死んだわが子をすり替える犯罪行為に出るが、育児放棄され、いつ死んでもおかしくない状態にいたソーフスの将来を思えば、アンドレアスの行動は「善悪」では割り切れないものがある。子供を死なせた容疑をかけられることを恐れ、誘拐を偽装しようとするトリスタン、死んだのは別人だと訴えるサネ、「正義」と信じて他人の子供を自分の子として育てようとするアンドレアス、死んだ息子を思うアナ。それぞれの思惑が絡み合い、思わぬ事態を引き起こしていくサスペンスから終始目が離せない。とりわけ、真夜中に橋の上でベビーカーを押すアナが取る行動は、人間がいかに矛盾に満ちた生き物であるのかを象徴する戦慄(せんりつ)の名シーンとなっている。(編集部・石井百合子)

映画『真夜中のゆりかご』は5月15日より公開

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『駆込み女と駆出し男』

『駆込み女と駆出し男』
©2015「駆込み女と駆出し男」製作委員会

流れるように繰り出されるセリフ回しに驚かされる
劇作家・井上ひさしが11年かけて執筆した時代小説を実写化した本作。江戸時代、幕府公認の縁切寺であった東慶寺を舞台に、駆け出しの医者で戯作者見習いの男が、さまざまな事情で離婚しようと駆け込んでくる女性たちの再出発を助けるさまを描く。まず驚くのは、流れるように繰り出されるセリフ回しの数々。大泉洋を中心とした役者たちの言葉が生き生きと躍動し、言葉の力がもたらす快楽に引き込まれること間違いなしだ。時代劇でありながら、古くささを感じさせないスタイリッシュな映像美も見どころの一つ。現代の息吹が吹き込まれた、力強く爽快な新感覚の時代劇に仕上がっている。また、戸田恵梨香満島ひかりら女性陣が紡ぎ出す物語は、現代に通じるさまざまな女の苦悩が詰め込まれたもので、いつの時代も変わらない女たちの悲喜こもごもと、それに立ち向かうしなやかな強さがじんわりと胸に染み入る一本となっている。(編集部・吉田唯)

映画『駆込み女と駆出し男』は5月16日より公開

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『チャッピー』

『チャッピー』
©Chappie - Photos By STEPHANIE BLOMKAMP

人間のようなロボットの成長を通し、死生観を問う娯楽作
『第9地区』で一躍時の人となったニール・ブロムカンプ監督が、原点に返ってヨハネスブルクを舞台に描くSFアクション。荒廃した、たまり場的な場所が好きなんだなと感じさせる世界に斬新な髪型をしたチンピラたちが次々に登場。その中で、人工知能を搭載したロボット、チャッピーが産声を上げる。より優れたロボットを開発しようと火花を散らすエンジニア同士(デヴ・パテルヒュー・ジャックマン)のライバル関係にチンピラの思惑が絡んでいくが、単にやった、やられただけで終わらないところが逸品の証し。まるで人間のようなチャッピーの成長を追い、教育や家族愛もブチ込む。意外にも死生観を問う内容でいて、大いにふざけているところも心をくすぐる。ものすごくお金を掛けて王道の娯楽作を作った印象ながら、大スターをメインにしていないことも、ストーリーを重視するブロムカンプ監督の自信の表れといえるかもしれない。(編集部・小松芙未)

映画『チャッピー』は5月23日より公開

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『サンドラの週末』

『サンドラの週末』
©Les Films du Fleuve - Archipel 35 - Bim Distribuzione - Eyeworks - RTBF(Televisions, belge) - France 2 Cinema

やり遂げることの尊さに改めて気付かされる秀作
目に見えない「心」を浮かび上がらせ、独特の間合いでスクリーンに収める作風で多くの映画ファンを魅了するジャン=ピエール・ダルデンヌリュック・ダルデンヌ兄弟は、本作でも「人の心」を題材にしている。病を乗り越え復職を希望する一人の女性の4日間を見つめ、苦しいことが何度訪れても、諦めず、やり遂げることが重要なんだと改めて教えられる。主人公のサンドラを演じるオスカー女優マリオン・コティヤールのいかにも病み上がりといった風貌は見事で、復職の前に立ちはだかる究極の2択に苦悩するサンドラの心の痛みが強烈に伝わってくる。全編を通して過剰な演出を避け、今まさにこの世のどこかで起こっている社会問題を切り取っただけというようなリアル感。漠然と将来の不安を抱えている人の背中をそっと押してくれるような秀作に仕上がっている。(編集部・小松芙未)

映画『サンドラの週末』は5月23日より公開

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