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『友罪』生田斗真&瑛太インタビュー

マイナスの感情を喚起させることもまた映画の力

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心を許した友は、あの少年Aだった--薬丸岳による小説を、『64-ロクヨン-』の瀬々敬久監督が映画化した重厚な人間ドラマが絡むサスペンス『友罪』。この映画で生田斗真瑛太が共演を果たした。ほぼ同世代の二人は、三度目となる共演をいかに楽しんだのか? それぞれ心の奥底にぬぐいきれない罪を抱えた難しい役柄に、どのように取り組んだのだろうか? 瀬々監督の導きで「刺激的だった」という撮影を振り返った。

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■人間への希望がつまった映画

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Q:この映画のオファーを受け、出演を決めるまでの心の動きを教えてください。

生田斗真(以下、生田):以前からこの小説を読んでいて、そのときからどういうかたちであれ、映像作品として残すべき題材だと思っていました。それで願わくば、自分も参加できればいいなと。プロデューサー陣からお話をいただいたとき、「僕らはドキュメンタリーを撮りたいのでも、誰かを否定したり肯定したりしたいわけでもない。人間の、希望のようなものを描きたい」とおっしゃったことに感銘を受けました。希望というと格好いい言葉になっちゃうけど、人間はこうあってほしいという単純な願いのようなもの。それがこの映画にはつまっていると胸を打たれたのです。

瑛太:最初に台本を読み、僕らの演じた益田と鈴木が出会ってどうなるのか? まずヒューマンサスペンスとしての面白さを感じました。それでお互いになにかを抱え、それは大なり小なり人の命に関わっている。そうしたことを背負った人間が最後に行き着く先は? そんなストーリー展開に興味が湧いたんです。題材は重くて暗いかもしれませんが、きっと観てくださる方もフィクションとして、物語の結末に期待するだろうなと。

Q:元ジャーナリストの益田と、他人との交流を避ける鈴木。町工場で出会う二人について、なにを意識して演じましたか?

生田:過酷な撮影になるだろうとは思っていました。そこで益田というキャラクターが鈴木にそうだったように、僕自身も瑛太という1人の男を支えたい、なにか力になれることはないだろうか? そんな思いを大切に、そこさえブレなければ大丈夫と思って演じました。

瑛太:基本的に、鈴木の犯した罪を全面的に否定しています。でも鈴木を思わせるあの“少年A”の手記を読むと、もちろんそれは幼いころの記憶をたどって書かれてはいるけど彼がつくり上げたストーリーでもある。その上で、なぜそうした衝動が生まれたのか? その意識の流れを100%否定はできない気がしたんです。映画を通してみても、人によって鈴木は強い嫌悪感を抱くキャラクターだと思います。生きる価値はないと思う方もいらっしゃるかも。でも人間は生きている限り変わりますよね。映画として描いたら、なにをすれば償いになるか? そこに光が当たるかもしれないし、当たらないかもしれない。観終えたあとに考えるきっかけを与えられる作品になるんじゃないかなと。

Q:鈴木が罪を犯してから映画の冒頭に至るまで、台本に書かれない空白を埋める作業を?

瑛太:やっぱり……“彼”を知るってことですよね。気が重かったのですが、まずは少年Aの手記を読むしかありませんでした。“彼”がいまなにをしているかはインターネットでも調べられます。父親である僕にとって、それは酷な作業でした。幼い命を奪う人間に対して憤りを感じますし、罰を与えたい思いも湧く。でも人間というのは紙一重のところでおかしな衝動が生まれ、道徳観を無視して残虐な行為に走ってしまう可能性が誰しも0%ではないと感じてしまった。怖いですけどそれで興味を持ち、鈴木を演じようと決めました。

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■パッと臨戦態勢に入れる現場

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Q:撮影現場の雰囲気は?

生田:まず瑛太が瀬々監督を、逆に監督が瑛太という俳優を信頼するのを強く感じる現場でした。(佐藤)浩市さんはじめ瀬々組常連の方がたくさんいらっしゃるなか、みんなが瀬々さんを大好きで人気者。どんな方なのか、楽しみにしていたのですが、監督は役者やスタッフに愛情が深いんです。お芝居のいい悪いをハッキリ言い、いいときはモニターを見ながら泣いたりする。録音部さんが「静かにしてもらってもいいですか?」というくらいに。これは好きになるなと。現場はまさにそんな瀬々さんのつくった空気でした。もちろんリラックスして雑談する時間もありますが、オンオフのスイッチのようなものがあるとしたらずっと半押し状態。いつでも臨戦態勢にパッと入れるような。やはりこの題材を映画にするのには相当な覚悟が必要で、映画としての使命を果たそうという思いをそれぞれ常に持ちながらの撮影でしたね。

Q:お二人の共演は『土竜の唄 香港狂騒曲』以来ですね?

生田:最初の共演は20代で、瑛太は初めて月9(『ヴォイス -命なき者の声-』)の主役を担い、主役であらねばならない自分と、役者として芝居場をかき乱して自由に表現したい自分とで揺れている時期で。そこからさまざまな作品を経た今回は頼もしい共演者で、自分も負けちゃいられない! と思わせる存在でした。何年かにいちどは瑛太の刺激を欲するみたいです(笑)。

瑛太:芝居の取り組み方として余計なことをしない、引き算の芝居をする。それでいて役柄の感情をしっかり表現できる人で、そのあたりのコントロールがとてもうまいんです。しかも今回、人間はある一定の感情ではなく複雑性のもとに存在する。そうしたことを表現していて、それに対して僕はどうすれば? と思わせてくれました。多彩な創造性を与えてくれた気がします。つぎは何年後でもいいですけど……ポップなやつをやりたい。

生田:明るい作品ね!『土竜の唄』も敵同士だったし……。

瑛太:特に罪を背負っていない、ふつうの友達がいいかも(笑)。

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■唯一気が抜けた、カラオケのシーン

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Q:今回の撮影で、集中し過ぎて我を忘れるほどの境地に至ったシーンはありましたか?

生田:鈴木が益田に初めて罪を告白する公園でのシーン。かなりテイクを重ねましたが、何回やっても涙が止まらなくなりました。ヘンなスイッチが入ったのか、台本に「泣く」と書かれていないところでも泣いてしまったり。後半は行き過ぎてしまったかも? と反省点はいろいろあります。

瑛太:僕もそのシーンでは感情のコントロールが難しかったです。

生田:(笑)。

瑛太:そのシーンでは僕のしゃべり方がおかしいんですよ。ずっと鈴木を演じていて、確かにそうした境地に入っていたのかも。それからラストシーン。監督にも「僕は何回も泣けないです。でもその1回を思いっきりやってみます!」と。監督も20~30分もの長回しをしたのですが、終わったあとで監督が「違う」と。確かに僕もこの映画の最後で、鈴木は泣かなくてもいいのかなと思ったんですよね。観客の方に最後、鈴木に共感してほしい映画ではないし、涙を流す鈴木をかわいそうだと思ってもらう話でも、コイツは気が狂っていると表現する映画でもない。なんとも言えない演出をされ、なんとも言えない表現になった。それで監督からオッケーをいただいたので、それが答えだったのかなという気がしています。

Q:益田と鈴木がカラオケへ行くシーンの撮影はどうでした?

生田:唯一明るいシーンで、楽しかった! あの鈴木が歌うって難しいと思うんです。どんなふうに歌うのか楽しみにしていたのですが、興味深く、笑える! という意味の面白さもあって。ゲラゲラ笑いながらやってました。

瑛太:僕は恥ずかしかったです。僕が楽しみにしていたのは、共演者の中に、芝居に入り込んでしまう人がいたんです。アクションシーンで斗真が、彼から思いっきり殴られてました(笑)。

生田:益田が投げ飛ばされ、机の角にがん! と頭をぶつけるという動きでしたが、本気でくるもんだから、「もうちょっとあの、力を抜いて大丈夫だから」と。

瑛太:斗真はどういう反応をするだろう? と思っていたら、やさし~く「これアクションだからさ」と伝えてました(笑)。

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■どう思われるかより、自分がどうしたいか

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Q:完成した映画を観た感想は?

生田:自分が出ていないシーンも多々あるので、こんなふうに仕上がったのか!  という驚きがあったのはもちろんですが、町工場の油や流れる血の匂いが漂うように生々しくて、さすがだなと感動しました。自分の演技は全然冷静に見られません。やりきった思いがある一方で、これでよかったのだろうか? という思いもあって複雑です。でも僕らはこの映画をつくると決め、みなさんに届けるのが使命だと思ったので。

瑛太:僕はまず、宣伝どうしよう? と(笑)。この映画をどう伝えるかは難しい問題だなと思いました。でもそれは簡単に理解できてしまわない面白さがあるということでもあって、それこそ映画の醍醐味ですよね。もちろん……『先生! 、、、好きになってもいいですか?』みたいな映画も好きですけど。

生田:やかましいわ!

瑛太:そういうの僕、やりたいんですけど(笑)。若い子と恋に落ちたい。

生田:もういいよ!(笑)。

瑛太:(笑)。この映画は1人1人にきっと心に残るものがあるだろうと思います。「個人的に苦手」という人もいて、そのパーセンテージは高いかもしれません。でもマイナスの感情を喚起させることもまた映画としての力ですから。

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■取材後記

ごくナチュラルに「瑛太」「斗真」と呼び合う二人は、2歳違いのほぼ同世代。「また一緒にやれるのがすごく大きかった」と出演の決め手について口を揃える。それで「同志だと思うし、自分は瑛太という役者のファン」という生田と、「真面目で技術があって容姿端麗で……自分の立ち位置を俯瞰(ふかん)で見る人。共演していて本当に面白い俳優」とふざけながらも心の底にある尊敬の念を隠さない瑛太。それぞれに過去に人に言えない傷を持ち、社会的な顔と心の内とのギャップにあえぐ役柄を、気合いを感じさせる、それでいて奥行きのある演技で見せている。

(C) 薬丸 岳/集英社 (C) 2018映画「友罪」製作委員会

映画『友罪』は全国公開中

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