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パリのような雰囲気のkino cinema 横浜みなとみらい

ラジカル鈴木の味わい映画館探訪記

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 3つの映画館を取材してきた横浜へ四度。横浜の正面玄関、みなとみらい。横浜ワールドポーターズや赤レンガ倉庫で何度も作品展示をやったし、遊びにも度々来ているエリア。天気の良い日にたまに来ると、気分いいですなあ~。横浜美術館、カップヌードルミュージアム、そして万葉倶楽部の屋上で大観覧車「コスモロック21」を間近に見ながら足湯に浸かる、いいね~。

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TSUTAYA横浜みなとみらい店

 みなとみらい線・みなとみらい駅「1番グランモール出口」から徒歩1分。横浜みなとみらいミッドスクエアのTSUTAYAの、レンタルのフロアだった2階に4月12日、3スクリーンの映画館が。市内には複数のシネコンはあるが、単館系が軒並み減っていることはたびたび書いてますが、このご時世、レンタルソフト店跡地が映画館になるのは画期的な事ではないでしょうか?(※「kino cinema」のeはアキュート・アクセント)

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今月の映画館「kino cinema 横浜みなとみらい」

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鑑賞のお供、コーラと原宿ドッグ

 広い面積を擁する1階はTSUTAYA書店と、スターバックス。境界線が曖昧で、コーヒーを飲みながら購入した書籍を読みんでもよし、雑誌の表紙が陳列された本棚を眺めながら休息するもよし。いま、オープン記念で『パディントン』(2014)、『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』(2017)、『サヨナラの代わりに』(2014)など系列のキノフィルムズが配給した映画の原作本コーナーを設け、展示販売中。これからも劇中の小道具の展示や上映作品と連動した企画を行っていく。

 2階の劇場へはエレベーターもしくは階段で、踊り場ではパディントンがお出迎え。チケットは2階チケット売り場で購入可。隣には売店。パリのホテルをモチーフにした内装、陽光差し込む長~い廊下に3つのシアターの入口が。シアター1は55席、シアター2と3は共に111席で計277席。ブラインドが下りていなければ、みなとみらいの広がる景色も楽しめる。トイレに行くと、男女それぞれお馴染みのあのキャラが。上映中の『ホワイト・クロウ 伝説のダンサー』(2018)を鑑賞。お供はペプシ300円とワッフル生地の原宿ドッグのココアバナナ250円、しめて550円也。

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階段踊り場で、パディントンに会える

 椅子はコトブキ社製の特注品で、リクライニング機能もあり座り心地は抜群。前席とのスペースも十分に取られていて、ストレスなし。昔は後ろに映写室を置く必要があったが、吊り下げ式の映写機を採用しているので、限られたスペースで最大限の座席数が確保されている。

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シネコン業界13年の支配人・佐古和磨さん

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トイレにはあのお馴染みのキャラたちが

 「4月12日にオープンしまして、約1か月経ちました。ただ、まだここに劇場が出来たことがあまり知られていないので、認知度を上げたいと思っています。みなとみらい駅からは近いですが、JRの桜木町駅からだとちょっと離れていますよね、JR沿線の方にも、もっと来て頂けたら。新聞広告を見て、スマホを持っていないシニア世代の方から“場所を教えてください”と電話の問い合わせが多いんです」

 支配人・佐古和磨さんは、北海道出身の35歳。旭川のシネコンに入社し、シネコンの仕事に携わって13年。今年3月に(株)kino cinema に入社し、現在3か月目。

 「(上映するのは)グループのキノフィルムズ配給作品が多くなると思いますが、全国でロードショーされない、このエリアの他の映画館ではかからないような、規模の小さい良質なミニシアター系の作品を中心に上映していけたらと思っています。元々シネコンにいましたので3スクリーンを回す大変さはあまり感じませんが、シアター1と、2・3では座席数が違うので、かける作品を間違えないように、とは思います」

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映画事業を網羅する木下グループ

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温もりを感じる黒板に手書きのロゴ

 住まい、文化、スポーツ、健康、教育と、生活産業全般をカバーする住宅関連の木下工務店で有名な木下グループ。アニメーション制作のガイナックスも傘下に収め、映画関連は映画製作・配給会社のキノフィルムズ、映画・番組制作のプロダクション・キノ、著作権管理の kino international など。興行が業務の kino cinema は、昨年設立された。

 「“世界中に良い映画はたくさんあるので、お客様のお気に入りの1本を見つけていただききたい”と社長・西島祐一郎は言っています。作品の選定も社長一人でやっています」

 6月には2館目の kino cinema 立川高島屋S.C.館が、JR立川駅徒歩3分の立川高島屋S.Cに、同じ3スクリーンでオープン予定。今後、他の地域でも検討中だという。(※立川高島屋の「高」ははしごだか)

ミニシアター系の作品で差別化を

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キノフィルムズが配給した映画の原作本コーナー

 オープニングは、第91回アカデミー賞作品賞受賞作『グリーンブック』『幸福なラザロ』などアート系中心のラインナップ。

 「まずは映画館の認知度を上げていきたいので、メジャー系作品も上映し、アート系作品とのバランスを取れたらと思います。個性の構築はその先でしょうか。地域のスクリーン数は増えているけれど、テレビのCMでかかっていないような小粒で良い作品がいっぱいあるので、紹介していきたいです。アート系の映画に興味を持つ方がもう少し増え、多様な作品にスポットが当たっていくといいなと思います。映画は本来、自由なものですから、こんなにさまざまな世界があるんだということを広げていきたいですね」。

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予告編もしっかり観てほしい

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1Fの書店にはいたるところに kinocinema の上映作品の紹介を常に流すデジタルサイネージが

 この界隈についてお聞きする。「何と言っても場所が良いです。洗練され綺麗な街ですよね。家族で楽しめます。カフェがあり、本があり、1日過ごすことができます。ここで10年、20年と続けていって、ここには映画館もある、と根付くようにしたいです。周辺にはシネコンもありますし、ますます多様性が広がるといいですね」

 シネコン、ミニシアターの概念や垣根も今や曖昧になっているような気もする。「シネコンが根付いて20年くらい経ったと思うのですが、最初の頃来ていたお客様が、今は子供連れでいらっしゃっていて、映画という娯楽があることを知ってもらう裾野を広げる役割の一端は担ってきた、とは思います。そして、業界全体が盛り上がるといいです」と佐古さん。

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『コレット』キーラ・ナイトレイ ドミニク・ウェスト 監督:ウォッシュ・ウエストモアランド 2018年

 映画ファンへ、メッセージをいただく。「予告編からしっかり観て頂いて、次に観たい作品をじっくり決めて欲しいです。この仕事をしてきて、どう予告編を組むか、どうやってチラシを手に取っていただけるように置くかなど、ずっと悩み、工夫し、考えてきましたので(笑)。ぜひアンテナを高く持っていただけたら嬉しいですね」

 取材終了後は、カップヌードルミュージアムへ行き「ワールド麺ロード」で世界の麺を食べようと思っていたのだが、佐古さんに教えていただいた、みなとみらいから徒歩7、8分のところにある、スタミナカレーが名物の「バーグ 戸部店」へ。ここのコスパ最高!! まさに奥深く、まだまだ知らない多様な、アイ・ラブYOKOHAMA。

【お詫びと訂正】初出時の本文に一部、編集部が事実誤認をいたしました。お詫びして修正致します。

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映画館情報

kino cinema 横浜みなとみらい

神奈川県横浜市西区みなとみらい4-7-1
みなとみらいミッドスクエア2F(TSUTAYA横浜みなとみらい店2階)
TEL:045-264-4572
3スクリーン277席
公式サイト>
Twitter:@kinocinma1

ラジカル鈴木 プロフィール

イラストレーター。映画好きが高じて、絵つきのコラム執筆を複数媒体で続けている。

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