相馬 学

相馬 学

略歴: アクションとスリラーが大好物のフリーライター。『DVD&ブルーレイでーた』『SCREEN』『Audition』『SPA!』等の雑誌や、ネット媒体、劇場パンフレット等でお仕事中。

近況: 『ワイルド・スピード/ファイヤーブースト』『探偵マーロウ』『ドラキュラ/デメテル号最期の航海』他の劇場パンフレットに寄稿。「シネマスクエア」誌にて、正門良規さんに映画とその音楽について話を聞く連載を開始。

相馬 学 さんの映画短評

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  • ミッシング
    夫婦愛の極北にも、陽が差すときはある
    ★★★★

     ミステリーではない。が、それでも並々ならぬ緊張感に見入ってしまう。

     本作の磁場となるのは子どもを失った母親の歪んでいく胸の内。周囲の好奇の目にさらされ、SNSの悪意ある書き込みに圧迫され、狂気スレスレの感情へといたる過程は密にして凄まじい。石原さとみの怪演は目を見張るばかりだ。

     それでも晴れ間がかすかに覗くのが吉田作品の妙。個人的な視点となるが、父親目線で見たとき、狂妻に振り回され、キレそうになりながらも必死に持ちこたえる夫の踏ん張りに救われる。青木崇高、こちらも好演。

  • エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命
    ローマカトリック残酷物語
    ★★★★

     19世紀イタリアの政教分離はその昔、世界史の授業で習った程度で、どんなものかは具体的には知らなかったが、そういう意味で興味深く観た。

     幼い子どもが親と引き離される。ユダヤ教徒の子と親それぞれが改宗を迫られる。改宗に応じた子と、改宗しない親との溝が深まる。これはまさに、カトリックが主権を握っていた時代の残酷物語。主人公の少年が、同じユダヤ人であったキリストの像に抱く幻想の描写も印象深い。

     時の教皇が聖職者らしくない横柄な態度をとっていることも脳裏にこびりつく。権力を握った人間が増長するのは、昔も今も変わらない。

  • ゴジラxコング 新たなる帝国
    エンタメ化が加速するモンスターバース
    ★★★★

     この映画に何を求めるかで、評価は分かれるだろう。怪獣バトルと都市破壊のスペクタクルを見たいなら、本作は確実にその欲求に応える。

     地下世界での巨サル対決からして凄まじく、地上ではローマもリオデジャネイロも破壊される壮絶さ。ぶっ壊し方は『トランスフォーマー』のそれに近く、映像にはスピード感も宿る。この破壊で何人の犠牲者が出たのか気になるが、純正娯楽作にそれを問うのは無粋というもの。

     人間側では疑似母娘のドラマも面白いが、ダン・スティーヴンスふんする獣医の、医療やら操縦やらバトルやらのハイテンションの大活躍が、このスペクタクルの中では何よりフィットする。

  • リバウンド
    たった6人でバスケ公式戦を戦い抜く奇跡!
    ★★★★

     信じられないような実話は、それだけでドラマになる。本作は、最大限にそれを生かしたスポ根コメディ。

     たった6人でバスケの公式試合を戦い抜き、勝利することはそれだけで奇跡。誰かが大ケガを負って試合に出られなくなれば、もう後がない。そんな緊迫感を生かしながら笑いと涙の物語を展開させる妙。スポ根ドラマとしては目新しさがないが、それでも観ていてグッとくる。

     チームの主力選手を演じたイ・シニョンやチョン・ジヌンが不和や友情を体現しつつ熱演を披露。控えがいないのでフルに走り続けなければならない彼らの激しい息遣いが聞こえてきそうな、試合の生々しい描写も生きた。

  • 異人たち
    日本発、切なく悲しいUKノスタルジー行き
    ★★★★

     『異人たちとの夏』のUKリメイクだが、ご当地の80年代ノスタルジーを取り入れつつ、ゲイの男性の物語に落とし込む。これは巧い設定変更。

     孤独を抱えた主人公の今を切り取りつつ、ホモフォビアが渦巻くサッチャー政権下での、地方の男の子の生きづらさを見据える。彼もまた“異人”だったのだろう。

     ヘイ監督らしい寂寞とした映像美はもちろん健在だが、80年代のヒット曲もすべてが意味を持って鳴らされる、その配置の妙にも唸った。『リトル・ダンサー』のJ・ベルが父親役を演じるようになったことも、イギリス映画好きとしては感慨深いものがある。

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