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『シン・ゴジラ』レア資料公開!

庵野秀明、エヴァからゴジラへ創造の裏側4~シン・ゴジラを作った男たち -音楽制作編

『シン・ゴジラ』レア資料公開!

 東宝製作による約12年ぶりの日本版『ゴジラ』シリーズ最新作にして、大ヒットアニメ「エヴァンゲリオン」シリーズの庵野秀明が脚本・総監督を務めた『シン・ゴジラ』。特撮ファンはもちろん、多くの「エヴァ」ファンからも注目を浴びる話題作に、庵野総監督はどう立ち向かったのか。数々の資料写真や庵野総監督を支えた盟友たちの証言を追いながら、『シン・ゴジラ』の裏側を探っていきます。(取材・文:入倉功一)

■鷺巣詩郎(『シン・ゴジラ』劇伴)

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鷺巣詩郎氏

 アニメ「ふしぎの海のナディア」「新世紀エヴァンゲリオン」において、庵野総監督と共に数々の名シーンを観客の記憶に刻み続けてきた作曲家・鷺巣詩郎。『ゴジラ』という、日本のエンターテインメントを代表する作品に挑む庵野総監督が、再び鷺巣に協力を求めたのは、必然だったと言える。

「庵野総監督から『ゴジラ』のお話があったのは、2015年1月1日の午前中、まさに元旦でした。お互いの夫婦で食事をする場で、『ゴジラお願いします』と。『ゴジラ』といえば、日本の国産エンターテインメントにおける、いわば総本山ですから、こんな重い物を正月の朝から? という驚きはありましたけど、『よろしくお願いします』と即答しました」(鷺巣)

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国産エンターテインメントの総本山への誘いは、意外な日にもたらされた。「ゴジラ(昭和29年度作品)<東宝DVD名作セレクション>」DVD発売中 ¥2,500+税 発売・販売元:東宝

 鷺巣の父は映像制作会社ピー・プロダクションの創業者・うしおそうじ(鷺巣富雄)。かつて東宝に務めたうしおは、同社の特殊技術課課長であった円谷英二に師事した人物でもある。鷺巣も幼少のころから、父と共に「ゴジラ」が作られた東宝スタジオにも出入りしてきた。

「3~4歳のころから父のひざの上で、その仕事っぷりを目の当たりにして育ったほどなので、当時は自分も父の跡を継ぐのだろうと考えていました。結果的には音楽という違う形でこの業界に携わることになったわけですが、そのうえで、作曲家として『ゴジラ』にかかわり、このスタジオに戻ってくるとは、まさか夢にも思わなかったですね」。(鷺巣)

■伊福部音楽

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庵野総監督、劇伴にもかなりのこだわりがあったようだ。(C) 2016 TOHO CO.,LTD.

 ゴジラの音楽といえば、作曲家・伊福部昭の存在。庵野総監督も、脚本を執筆している段階で同氏の楽曲を使用することを決めていたようだ。製本がされた段階で、そこには、使用する楽曲名まで書き込まれていたという。

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伊福部氏の音楽を使用することは、比較的早い段階で決定していたようだ。「ゴジラ(昭和29年度作品)<東宝DVD名作セレクション>」DVD発売中 ¥2,500+税 発売・販売元:東宝

「最初、庵野総監督が『音楽……あまり使わないかもしれない。使わないかな』ということをおっしゃったんです。監督はいつも、一言だけに集約して全てを語ってくださるので、その一言から『新たにあまり書く必要がないということは、伊福部さんの曲を使うのかな』とも読み取ったんですが」(鷺巣)

 鷺巣は「音楽的に一言一句たりとも、決して変えない」という大前提で伊福部曲に臨み、オリジナル性を保ったまま自然なステレオ音源を得るため、気の遠くなるような作業に取り組んだ。しかし、最終的には庵野総監督の判断で、伊福部楽曲はオリジナルのモノラル音源のまま採用されることになった。ただ、その過程ひとつを見ても、労をいとわない作り手のプライドを強く感じさせる。

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監督・特技監督を手掛けた樋口真嗣をはじめ、庵野総監督の周囲には損得を超えた盟友が集まる。(C) 2016 TOHO CO., LTD.

「庵野さんの周りに集まってくるスタッフに、物事をビジネスだけで考える人間なんて一人もいませんよ。自分も、損得抜きにずっと好きなことを続けてたい人間です。いつも似た顔ぶれになるのは、そういう連中ばかりだからでしょう。結果はどうあれ、一本の映画を作るのにとてつもない手間がかかるのは当たり前のこと。後から考えると大変な遠回りだったとは思うけど、遠回りしたからこそ得られた最上の結論でもあるんです」(鷺巣)

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次のページではあの名作アニメ音楽使用を語る!

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